JAL・ANAがSAF共同レポート第2版を公表
航空脱炭素はいよいよ“実行フェーズ”へ
日本航空(JAL)と全日本空輸(ANA)はこのほど、2050年の航空輸送におけるCO2排出実質ゼロの実現に向けた共同レポート「2050年 航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて(第2版)」を策定した。2021年の初版公表から5年が経過し、航空業界を取り巻く環境は大きく変化しているようだ。
当初はSAF(持続可能な航空燃料)の認知拡大が主なテーマだったが、現在は世界的な供給不足や高コストといった現実的な課題への対応が求められる段階へ移行している。レポートによれば、2025年時点のSAF供給量は航空燃料全体のわずか0.6%にとどまっており、目標達成への道のりは決して平坦ではないようだ。
一方で、日本の航空ネットワークは年間約17兆円規模の経済波及効果を生み出しており、訪日観光の拡大や地方・離島の移動手段としても欠かせない存在だ。脱炭素化への対応は環境対策にとどまらず、日本の成長基盤を維持するための重要な課題になりつつあると言えるだろう。
また、欧州ではSAF導入の義務化が進む一方で、燃料価格の上昇など新たな課題も表面化している。両社はこうした先行事例を踏まえ、供給能力や市場環境に合わせた「日本型モデル」の構築が必要だと訴える。さらに、企業のScope3排出量削減を支援する仕組みを通じて、SAF導入コストを社会全体で支える「共創モデル」の推進にも力を入れているようだ。
競争関係にあるJALとANAが手を携える背景には、航空脱炭素という課題の大きさがある。持続可能な航空輸送を次世代へ引き継ぐためにも、今後は業界の枠を超えた連携と社会全体での理解がますます重要になっていくのではないだろうか。
